« 「ビッグ・フィッシュ」-理解し合う親子- | トップページ | 牛すね肉を気長に煮込んでスティファド・ディナー »

2010年11月21日 (日)

「トイ・ストーリー3」-震災を生き延びた友人に-

「トイ・ストーリー3」。待ちに待った、第3作目。前作よりさらにパワーアップした技術力で、めまいがするほどの「リアル感」を体験させてくれる。レンタルのDVDで拝見したが、ウッディの顔の表面の艶や、アンディが大学進学のために、部屋の私物のうち、「ゴミ」と「屋根裏保存用のもの」に分けるために使う黒いゴミ袋のしわしわ感といい、ピクサーの人って凝り性だな・・・作るの、体力的に疲れただろうな・・・お疲れ様!と実写を超えるリアルさに驚きの連続だった。

私は片目がほとんど見えないので、「3D」の映画は見ることができないのだが、もし3Dなんかで見ていたら、気を失っていたかもしれない。2Dで十分、実写並みである。

ところで、アンディのおもちゃたちが「寄付」されてしまう「サニーサイド託児所」の主、ロッツォの、年季の入った「皮膚感」には衝撃を覚えた。この熊の縫いぐるみは、「ある理由」から土砂降りの雨を浴びたり、長時間屋外にいたりする過酷な経験をしている。なので、新品縫いぐるみの特徴である光沢もない。買ってから年数のたった縫いぐるみの質感をここまでリアルに表現するなんて、さすが、ピクサー。うちにいる35年間人生を共にしている熊のぬいぐるみ「マキ」もそうだが、長年抱いていると、汚れも目立ってくるし(私の寝汗がつくのか!?)、表面がけばだってくる。ロッツォのおなか辺りのけばだった繊維の感じ、ものすごくリアルである。そして、一度濡れた表面の布が乾燥した後も、けばだちの原因だろう。うちの「マキ」も、私が小学生の頃、親が私の知らないうちに洗濯機で洗い、屋外で乾燥させる、ということを数回行っていたそうだ。それは数年前親のカミングアウトで知ったのだが、私が留守(修学旅行などのときか?)のときに洗っていたらしい。現在は、マキはあまりに「高齢」なので、汚れなど気にせずに、洗わずにありのままの状態で「生活」してもらっている。ロッツォが路上でびしょぬれになっていたシーンは、うちのマキも「洗濯機トラウマ」を思い出したのか、シュンとして見ていた。

大学に進学する際、子供の頃から濃い関係を結んでいたおもちゃたちとの寂しい別れを体験するアンディを見ていて、自分の過去をふと思い出した。社会人になってから、イギリスに留学することを決心し、その際「マキ」を持参するか日本のアパートに置いていくか悩んだのだが、現地で紛失することが怖かったので、なんと、置いていくことにしてしまったのだ。今考えたらなんて馬鹿なことをしたんだ!?と思う。いまだ、精神の安定のキーとなっている縫いぐるみを日本に置いて、未知の世界に挑みに行くなんて、無茶なことをよくしたな、と思う。そして、イギリスに着いて2週間ほどたったときに、テレビで阪神大震災のニュースを見た。私は西宮のアパートを賃貸したままイギリスに来ていたので、全ての家財を置いたままにしていたのだが、西宮も震災の被害がひどく、まっさきに考えたのは、アパートは倒れていいないか、マキは無事か、ということだった。「こんなことになるなら、連れてくれば良かった・・・」と後悔した。結局実家の両親が震災後アパートのチェック、掃除に行ってくれて、いろいろなものが割れて床に散らばっていたが、マキもベッドから転がりおちただけで、無事だったことが分かった。

私の危険を身代わりになって守ってくれたんだ、と今でもそう思う。私は無事にイギリスでの2年間の苦学生生活を満喫して、震災経験者のマキと再会することができた。

縫いぐるみ(やおもちゃたち)には魂が宿るのだと信じている。この映画の中のウッディたちも、子供のころからいつも一緒だったアンディの大学での安全な日々を心から祈っているだろう。そして、大好きだった持ち主といろいろな理由で「生き別れ」になってしまったおもちゃたちは、ダークサイドで生きざるを得ないほどに、心に傷を持ち続けるのだろう。

これからも、ずっと「友人」マキを大事にしよう、と決心した。

圭子

冒頭の劇中劇のようなサイドストリーは「男はつらいよ」の寅さんの夢に似ていると感じたのは私だけでしょうか。今ではすっかり、私もマキの友達になりました。

亮一

|

« 「ビッグ・フィッシュ」-理解し合う親子- | トップページ | 牛すね肉を気長に煮込んでスティファド・ディナー »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「トイ・ストーリー3」-震災を生き延びた友人に-:

« 「ビッグ・フィッシュ」-理解し合う親子- | トップページ | 牛すね肉を気長に煮込んでスティファド・ディナー »