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2010年12月11日 (土)

「インスタント沼」- 育ちの良さが見え隠れする加瀬亮 -

麻生久美子っていい。彼女のお醤油のCMで、けっこうはしゃいだ感じのものがあるが、あれを見て「あ、麻生っぽくない。元気すぎる」と感じだのだが、今回「インスタント沼」を見て、パワフルな役もまた、合っている、と思った。本作の麻生は、奇声をあげ、鼻の頭に泥をつけても平気な、飾り気ない、元気なかっこいい女性を好演している。

人生には派手な瞬間は何回かしかない。毎日恋愛にときめくこともないし、道を歩いていていい男に声をかけられることも、多分一生に一回あればいいくらい。そんな「今日もだめだったな」「今日もうまくいかなかったな」という精神は毎日の私達をむしばむ。しかし、水道の蛇口を出しっぱなしにして、シンクや浴槽が満タンになってあふれだす前に、外出から帰ってくるようなスリル(これは、映画を見てチェックしてください)を味わったり、ありったけのお金を使って人工の沼を作ったり、と何か突拍子もないことを人生のありきたりさの中に挿入していけば、テンションも上がり、結果的には人生を謳歌することも可能だ、とこの映画でいろいろなことを気づかせてもらった。

なんとなく、さまざまなことに対するオマージュを感じた。

①風間杜夫、松坂慶子の「過去に何かあった感じ」の設定=映画「蒲田行進曲」へのオマージュ

②麻生が編集長をしていた雑誌のグラビア撮影で使っていた沼地。水面から抜き出ている二股に分かれる木の枝=映画「八つ墓村」へのオマージュ

③江口のりこと新屋英子の起用=映画「ジョゼと虎と魚たち」へのオマージュ

加瀬亮演じる「ガス」の「ガス」はあだ名かな、と思っていたら映画のエンディング近くで彼の実家であろう電気屋さんの看板に「賀須電気工務店」とあり・・・なんだ!ガスって名字か!?と衝撃を受けたのだが、この加瀬亮。パンクの役だが、モヒカン頭でパンク風の若者を演じているが、従来の育ちのよさが見え隠れしていると思ったのは私だけか?

松坂慶子は、ふくよかな体型になって以降、不思議な女性をうまく演じ続けている。この映画の中の河童の存在をかたくなに信じる(そして、松坂には実際に河童は見えている!)麻生の母親といい、名作「大阪ハムレット」でのたくましい母親といい、生きるのに疲れを感じたら松坂慶子を見よう、そうしたら、すくなくとも今日一日は幸せな気分になる、という私には薬のような役者だ。

圭子

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コメント

インスタント沼、見てくれましたか!全然気づいてなかった様々な細かい点に気付き考察してる、さすが圭子さんです。ガス、あだ名だと思ってた…
松坂慶子と言えば、ホノカアボーイでもなかなかの味を出してますよ。まだ観てなかったらオススメです!

投稿: tommie | 2010年12月11日 (土) 23時29分

tommie さん、「ホノカアボーイ」って美しい岡田君主演でしたっけ?ぜひ見ます!松坂慶子、いいですよね?味がありすぎ。
「インスタント沼」見てたら「MILO」をひさびさに飲みたくなりました。それも、あの沼のような「しおしおミロ」を。この映画は、随所で「微妙なずれ」があり、ものすごく感動しました。たとえば、うさぎファームでうさぎの世話をしているおじさんが妙に愛想がない、とか松坂慶子の入院先の看護婦の、雰囲気が変、とか、リサイクル回収三人トリオが尋常じゃない、とか、言葉にはいい表しづらいのですが、あの辺の「ずれ」を映像で表すのって、この監督天才なんじゃないかな?とひさびさに興奮しました。

投稿: keiko | 2010年12月12日 (日) 04時33分

「インスタント沼」、わたしも見たよ。大好きな映画だ~。
寒くて寒くて体中の血のめぐりが悪くなって憂鬱な気分のとき、温泉に入ってめっちゃ元気になっちゃった、みたいな気分だった。想像力は心の糧だね。
おぐちゃん

投稿: おぐちゃん | 2010年12月12日 (日) 23時38分

おぐちゃんさま、そうですね、元気になる映画ですよね?風間杜夫に対して「こんな役もやるんだ!」とリスペクトしてしまった私です。

投稿: keiko | 2010年12月12日 (日) 23時50分

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