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2010年12月 4日 (土)

「ウルトラミラクルラブストーリー」-松ケンの憑依性-

まず、一回目は普通に見て、二回目は日本語字幕入り、で見た。一回目では理解できていなかった衝撃なセリフを二回目で理解して、驚いた箇所がある。それは、町子先生(麻生久美子)が産休先生の代理で幼稚園にやってくるシーンで、幼稚園児二人(ものすごくいい味をだしている女の子二人)が青森弁で漫才をしてみんなを笑わせるシーンなのだが、この園児が何を言ってるのか一回目はさっぱり分からなかった。ただ、二人のこまっしゃくれた様子がかわいく、「何か面白いこと言ってるんだろうな、きっと」くらいにしか思わなかった、が二回目の字幕入りで見たら、かなりブラックなことを言っていて、少し恐怖。ほのぼのとした東北の幼稚園児、というより、現代の孤独感などを雄弁に語っていて、このシーンはぜひ字幕入りで見ていただきたい・・・

今日12月4日は東北新幹線全線開通の日。こんな記念すべき日に偶然青森舞台の津軽弁オンパレードの映画を見ることができ、光栄な限り・・・この映画を見て、「これは、寒い地方なら、海外でのアダプテーションも可能ではないか!?」と思った。多動性の青年はスコットランドで祖母とジャガイモ農場で働くジェームズ・マカヴォイ演じる「イアン」。そんな彼が一目ぼれするのが、大都会ロンドンで恋人と死別して、心にぽっかり穴があいてしまい、静かな田舎で人生やり直したいと思って北の国に舞い降りた、キーラ・ナイトレー扮する「アンドレア」。寒く、娯楽も少ない農村で、風変わりでつかみどころのない子供のような青年イアン、とスコットランドの素朴な環境で再生するアンドレアが、少しずつ距離を縮めていく中での衝撃なラスト!寒い町でなら、スコットランドではなくてもベルギーとかが舞台でもいいだろう。アキ・カウリスマキ監督あたりでもいい。アダプテーションの話はないのだろうか?

「ウルトラミラクルラブストーリー」の衝撃的なラストを見て、同じく「え!?」っというシーンでエンディングを迎える映画「ロゼッタ」を思い出した。1999年カンヌ映画祭でパルムドールを取ったダルデンヌ兄弟の問題作。手持ちのカメラで撮っているので、画面が揺れて結構不安定な感じがするので、気持ち悪くならないように、体調のいいときに見た方がいい映画だが、見ているだけで、自分も寒いトレーラーの中で貧しく生活しているような感覚に陥る。ダルデンヌ兄弟版の「ウルトラミラクルラブストーリー」ベルギー版も、面白いと思う。

松山ケンイチは憑依型だな、と思った。役によって別人になる。今回は、乱暴に箸をテーブルにたたきつけるように置いたり、せわしなく農薬倉庫の中をものすごいスピードで歩き回ったり、洗濯物をはおって海辺にかけだしたり、「大丈夫か!?」と心配になるシーンが多かった。声も妙に大きく、しゃべり方もいつもと違うし、役に入り込んでいて、怖さも感じた。天才だ。

麻生久美子。不思議な町子先生を熱演。恋人が事故で死に、その恋人の遺体からは首が分断され、首はいまだに見つからない、という設定なのに、普通に淡々と縁もゆかりもない青森で、津軽キッズたちと幼稚園で頑張っている。あまり感情に揺れが見えず、つねに同じようなトーンで生活してる。こういう役ができる彼女も、天才だ。

圭子

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コメント

ウルトラミラクルラブストーリー、私も最近見ました。字幕で見れば良かったのか〜邦画でまさか字幕が必要になるとは思わず、かなりのパートを部分的にしか理解できませんでした。
うん、スコットランドバージョンもいいかもしれない!
あんな感じのマツケンを見たことがなかったのでホントに衝撃的。麻生久美子はどういうわけか、こんな感じに、普通じゃない事態にあまり驚かずに楽しんじゃう、不思議ちゃん役が多い気がします。インスタント沼とか…

投稿: tommie | 2010年12月 4日 (土) 17時53分

tommieさま、私もぜひ「インスタント沼」も見てみますね。麻生不思議ですよね・・・淡々としていて、クール!

投稿: keiko | 2010年12月 4日 (土) 22時11分

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