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2010年12月13日 (月)

「ノルウェイの森」-そこはまるでベトナムの湿度-

村上春樹の原作を初めて読んだのは、社会人になってからだった。手持ちの文庫本の発行年を見ると「1997年」となっている。初めて読んでからもう13年になるが、いまでもときどきパラパラとめくっては、お気に入りの場面をよく読む。

私のお気に入りのシーンは、

①緑が作った出しだしまき玉子などをワタナベがおいしそうに食べるシーン

②緑の父親(入院中)に、ワタナベが「キウリ」を食べさせるシーン(キュウリに海苔巻いて醤油をつけてあげて、父親に食べさせてあげる)

③レイコさんがワタナベに、過去にピアノを教えていた「女の子」との事件について告白するシーン

④永沢とハツミとワタナベがフレンチを食べに行き、そこで険悪な会話があり、その後ハツミとワタナベだけがビリヤードに繰り出すあたりのシーン(ミッドナイト・ブルーのワンピースを着るハツミ)

だ。この「ノルウェイの森」は、細かいエピソードがたくさん宝石のようにちりばめられた小説なので、ページを開くところ開くところに読みがいのある面白いシーンがある。私が特に記憶に強く残っているシーンは上記にある。これらのシーンは、登場人物の「人となり」を示すのにすごく重要なシーンだと思う。映画の中では、①はかなりさらっと(それぞれの料理アイテムは見えなかった)、②はキュウリは、なし。③は全く、なし。④は途中まではあるが、ハツミの「すごさ」は50%くらいしか(私には)伝わらなかった。

お気に入りの小説の映画化を見るのは、勇気がいる。いろいろと心で映像を想像していただけに、それとあまりにもかけ離れていたり、また、監督が自分と違う解釈の仕方で「え、ここを端折るの!?」ということになってしまうと、もうそれだけで途中から集中しづらくなる。

ところで、映画を見ていると、雨が多かったり、松ケンの前髪がぺたっとおでこに張り付いていたり、とまるでベトナムのように、湿度高く見えた。そして、直子の療養する施設がある場所は、京都の山、というより、イギリスかどこかの乾いた草原のようだったり、自然の描写が非常に「日本離れ」して見えた。

考えてみたら、外国人で、なおかつ現在ではなく過去(1960年代後期。監督自身、まだ「子供」だった時代)の日本を描くのって、どういう感覚なんだろう。原作自体を「翻訳」で読んでいるであろうし。想像してみるのも難しい。たとえば、私が日本人映画監督だとする。長年にわたりフランスで大ヒットした「5月革命」の頃のソルボンヌ大学の学生「ピエール」と、彼のリセのころからの恋人「サビーヌ」(精神を病んでいる)との関係を描いた小説を、パリを舞台に、フランス人俳優を使って映画化する、とする。60年代後半のソルボンヌの学生がどのような話し方をするのか、どのようなシャツを着るのか、どのような髪型をするのか、どのようなコップでトム・コリンズを飲むのか、どのようなキスをするのか、全部決めていかなければいけない。そして、出来上がった映画を、原作を愛するフランス人オーディエンスに公開しないといけない。想像するだけで、恐ろしいプロジェクトだと思う。そして、トラン・アン・ユン監督は、見事に合格点をとったと思う。(満点ではないけど)

圭子

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コメント

ほう!早速行きましたね!私は松ケンはしっくりくるが、リンコがどうも好きになれないし、キャラが合わない気がして抵抗がありました。それでもそれなりに楽しめる?とりあえずもう一回小説を読み直そうかな。

投稿: tommie | 2010年12月13日 (月) 23時09分

tommieさま、今回の松ケンはワタナベになりきっていました。先日の「ウルトラミラクル・・・」の落ち着きのなさはなんだったんでしょう!?役者って、すごい仕事です。凛子は「バベル」も今回も、高校の制服着たら、なんとかなってることろがすごい。映画見た後に、さらに小説を読み返したくなりましたよ。とにかく、すごい作品にチャレンジしましたわ、監督。60年代(と言っても自分も赤ちゃんだから記憶はないころですが)を再現してました。

投稿: keiko | 2010年12月13日 (月) 23時56分

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