« カレー粉と生クリームでチャツネソースのポークディナー | トップページ | イベリコ豚と車麩でヨーロピアンなディナー »

2011年1月19日 (水)

「ミザリー」-ほんの少し不器用なだけの愛すべきアニー・ウィルクス-

「ミザリー」は1990年の大ヒット映画だが、公開時はきちんと見ていなかった。またもやTSUTAYAさんの「発掘良品」コーナーで見つけた良品。あのコーナーの作品を全部見た方がいいかもしれない。はずれがない。

キャシー・ベイツ演じるアニー・ウィルクスはごく「普通」の人間だ。普通のおばさん。別に変人でもないし、悪人でもない。彼女は:

①人気作家ポール・シェルダンの書く「ミザリー」シリーズの大ファン、

②工夫して料理するのが自慢(アニーは雪深そうなエリアに住んでいる。家にあるもので工夫して料理するいい人)、

③看護婦としてのキャリアを積んでいた時期もある、「頑張り屋」。

ただ、アニーは人生がうまいこと行かなくなった時の折り合いを自分の中でつけるのが、ちょっと苦手なだけだ。自分のお気に入りの小説の主人公が死んでしまったら、ひどく悲しむアニー。一般の人は「ああ残念」で終わるが、アニーは小説家を自分の家に監禁し、思い通りのストーリーに書き直させるほどの入れ込みよう。ただ、そこに悪意はなく、ただ、「愛」が強すぎるのだ。小説に対する愛、小説家に対する愛、そして、自分に対する愛。

誰でも「アニー」になる可能性はある。自分の欲望ほどコントロールしづらいものはないから。

本作で、キャシー・ベイツが一番怖く見えたのは、彼女が微笑んでいるときだった。アニーに悪意はない。ただ、自分の心に素直なだけなのだ。彼女の天真爛漫な笑顔は、彼女の欲望が常識を超えていることを知っている部外者の私たちには、空恐ろしいのだ・・・とりあえず、今後はどの映画でベイツを見ても、「彼女優しい顔して、裏では拷問癖とかあるんじゃないかな・・・」といちいちダークな妄想をしてしまいそうな予感。キャシー・ベイツが普通に見えない・・・

失踪したポールを探す保安官役を、リチャード・ファーンズワースが好演している。おじいちゃんなのに、やけに格好いい、生涯現役な感じの保安官と、助手の嫁(彼女もRock 'n' Roll な感じの、いけてるおばあちゃん)のコンビが恐ろしいストーリーの中で見る者をほっとさせてくれる。彼の遺作「ストレイト・ストーリー」はデヴィッド・リンチ色が「薄い」、穏やかな雰囲気の異色作である。

圭子

|

« カレー粉と生クリームでチャツネソースのポークディナー | トップページ | イベリコ豚と車麩でヨーロピアンなディナー »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「ミザリー」-ほんの少し不器用なだけの愛すべきアニー・ウィルクス-:

« カレー粉と生クリームでチャツネソースのポークディナー | トップページ | イベリコ豚と車麩でヨーロピアンなディナー »