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2011年1月 7日 (金)

「火宅の人」-夫婦のことなんて、外からは分からない-

最近、松坂慶子(の若い頃)にはまっているので、彼女の昔の作品をひも解いている。(と言っても、現在の松坂慶子に興味がないわけでは絶対に、ない。最近の映画だと「大阪ハムレット」の彼女は神様のようだ。)そんな中、本作「火宅の人」に出会った。1986年の深作作品。映画を楽しむのと同時に、檀一雄の「火宅の人」(新潮文庫)、そして沢木耕太郎の「檀」(同じく新潮文庫)を並行して読んでいる。

あまり檀一雄のことは知らなかった。「檀ふみのお父さん」というくらいのイメージだ。「家族にとってはいい迷惑な男」という勝手なイメージも持っていた。しかし、映画、書籍を体験した今「夫婦のことなんて、当人同士にしか分からない。周りで勝手に『あの夫婦は不幸だ』と思うのは、浅はかだ」という考えに変わった。

映画の中で、いしだあゆみが本妻役を演じている。しっかりしていて、夫が愛人とどのような状態でも、たくさんの子供(夫の連れ子を含む)をきちんと育て、作家である夫に呼ばれれば、執筆のサポート(口述筆記)のために徹夜で付き合い、病気の息子が難病(日本脳炎)にかあっても、嘆くことなく看病したり、と強くバイタリティのある妻だ。そして、この妻は、これらの「苦行」に対し、愚痴をこぼすことなく、淡々とプライドを持って立ち向かっている。一番すごいことは、妻は決して夫を嫌わず、「これが私達の夫婦の形」と思い(と、私には思えた)、ときどき自宅に舞い戻って来る夫のタクシー代を立て替えたり、いつも、騒ぎもせず平然としている。沢木耕太郎の「檀」を読んで理解したのだが、奥さんは、檀一雄が本当に大好きだったのだ。奥さんにとっては檀が全てだったのだ。

夫役の緒形拳はこの映画の頃50前である。今の自分と同じような年齢の緒形拳を見るのは面白い。結構アクションの激しいシーン(原田美枝子演じる愛人との取っ組み合いの喧嘩、真田広之演じる中原中也との路上での喧嘩など・・・)も、力一杯こなしていた。とてもいかしていた。

この、中原中也については、若干違和感。当時ものすごく若い真田広之を起用しているのはいいとしても、やたらと身体能力の高い中也(飲み屋のカウンターに飛び乗ったり降りたり、なんて運動神経のよい真田にしか演じられない)だし、やたらと喧嘩に強い中也だし・・・さすが、JAC出身の真田!中也の、病弱なイメージがあまり出ていなかった(路上で喀血したりはしていたが・・・)。

今回も、松坂慶子は、美しい、そしてさっぱりした愛らしい女性を演じていた。そして、緒形(主人公桂一雄役)の愛人を演じる若き原田美枝子は、信じられないほどの魅力を撒き散らしている。1980年代の女優たちは、きちんと裸で演じている。女優とはこういうものだったのだろう。今、当時の女優たちと同じことをしているのは、寺島しのぶくらいなものだ。寺島の後を誰が継ぐのだろうか!?日本の映画の将来が心配だ、非常に。

圭子

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