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2011年2月21日 (月)

「今度は愛妻家」-『今度』はきっとないのだから・・・-

映画が始まってすぐ、その「秘密」に気づいてしまった。最初から不思議な雰囲気に包まれていたから。だが、ネタが分かった上で見ても、問題なく感動できる。

豊川悦司と薬師丸ひろ子は本当にいい仕事をしている。

トヨエツ演じる今活動休止中のカメラマン俊介は、自堕落な生活をおくっている。「事務所」と呼ばれる一見「家」にしか見えない場所で、宅配ピザの空き箱に囲まれてぼんやりしている。時折妻さくら(キュートな薬師丸!)が小言を言う。

さくらはいつも同じ服装(ふわふわしたスカート、清潔な白ブラウス、カーキ色のコート、それに何かがパンパンに入った旅行バッグ持参)をしていて、「今から旅行に行く」とか「今旅行から帰ってきた」とか言っている。二人は別居中の夫婦で、たまたま旅行前に忘れ物を取りに夫のいる場所に戻ったり、はたまた旅行帰りに別居中の夫の様子を見に来ている妻、なのかと最初は思っていたが、だんだんさくらの正体が分かるような仕組みになっている。

夫婦(とは限らない、親子も、友人も、大事な相手はみんなだ)は、「後で大事にすればいいや」と優しさを後回しにして、日常はストレスのぶつけ合いをしてしまうことがある。悪気はないが、いやな気持ちを相手に与えたり、「これ位のワガママは分かって欲しい」と勝手な行動を取ってしまうことがあるものだ。相手を信頼しているからこそしてしまう身勝手な態度だ。だが、「後で罪滅ぼししよう」と思っても、「後」がなければどうなる?という誰にでもあり得る恐怖、悲しさを痛いほど知らしめてくれたトヨエツの涙だった。

さくらは、薬師丸ひろ子にしかできない役だと私は思う。彼女がいないとこの映画は成り立たない。うまく年を取っていて、昔からのファンとして嬉しい。恐ろしいほどに、愛らしさを残しながら、きちんと大人の魅力も蓄え、一体どうやったらこんな風に成長できるのだろうか!?角川映画黄金時代、中学生だった私は、「セーラー服と機関銃」のサントラを買うほどの薬師丸ひろ子ファンだった。そういえば「きらきらひかる」でもトヨエツと夫婦だったね、薬師丸。

なお、水川あさみ&濱田岳の「若い衆」の恋模様や、石橋蓮司とさくらとの関係の描かれ方がやや薄いのが難点。しかし、もしこれらの人間模様もきちんと描いてしまうと、「さくらと俊介」へのフォーカスが鈍るので、このような描き方が限界だったのかもしれない。

石橋蓮司が「プリシラ」でのテレンス・スタンプを彷彿とさせる。またいつか素敵なゲイを演じていただきたい。

圭子

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