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2011年2月11日 (金)

「パッション」-オンナとして生きることを選んだメイに乾杯-

ダニエル・クレイグが大きくジャケットに載っているので、ボンド役の時の彼にかなりまいってしまった私は思わずこの「パッション」をレンタルした。「パッション」と言っても、メル・ギブソンの「パッション」ではなく、こちらの方は原題が「The Mother」という、イギリス映画だ。

この映画はある母親が、娘の恋人に惹かれていき、そこで自分の中の燃えるような生命力を再確認する、「自分探し」ものだ。映画の最初の方では、「母」というよりむしろ「おばあちゃん」であるメイ(アン・リードという女優が演じている)が、ダニエル・クレイグ演じる、自分の娘の恋人ダーレンと出会い、彼との関係が深まるにつれて、心境だけでなく、見かけすらも輝いていき、「女性」に変化していく。彼女の変化は著しく、ある時点では娘役の女優よりも若く見えるほどだ。

2003年の本作のダニエル・クレイグは、ボンドになる「前」だ。体も、顔も、「カジノ・ロワイヤル」の時のような精悍な姿というより、やや「だらっと」した感じで、そこがまた生々しい。ダーレンの「だめ男」ぶりが、本当にリアルで、「ダニエル・クレイグって嫌な『だめんず』!?」と思ってしまうほどだった。役者冥利につきるだろう。本当に嫌な最低な男、ダーレン。(だが、100%憎みきれない。それは、ダニエル・クレイグの母性本能をくすぐる目つきが原因だろう。)

この映画の冒頭でさくっと死んでしまうメイの年老いた夫役のピーター・ヴォーンだが、この俳優、絶対どこかで見たことある、もしくはこの人にそっくりなおじいさんをどこかで見たはずだ!と頭の中の記憶の検索エンジンを作動させながら映画を見ていて、映画後半でやっと思い出した。「日の名残り」だ!!執事アントニー・ホプキンズの父親役の「鼻水」を垂らしながら給仕していたあの、彼だ!「日の名残り」でも映画の途中で亡くなる役。しかし、実際の俳優ヴォーン氏は現在87歳で、俳優としても現役。

これまた、「この人どっかで絶対見た。もしくはこの人と似た一般の人が知り合いにいたっけ?」といらいらしながら映画を見ていて、後半で「あああ、あの時見たか」とすっきりしたのがメイの息子のボビー役のスティーヴン・マッキントッシュ。寒そうな顔、というか、薄い顔、というか、一般人風な顔(失敬!)・・・この人、昔々シェークスピアの「十二夜」の映画版で主人公のヴァイオラの双子のお兄ちゃんを演じていた時に見た。この「十二夜」という映画は、見終わった後に「いやっほおお!」と叫びたくなるような爽快な気分になる映画。そして、この「パッション」は「これからどうしよう・・・」と、若干不安になる映画。(自分らしく生きるって、時に世間を敵にまわす。だから不安だよね、メイ・・・)

本作を見て、女性という生き物は自分を「オンナ」と扱うのか、それとも「母親」と扱うのか、はたまた「おばちゃん」や「おばあちゃん」と扱うのか、全部自分の考え方次第なのではないか、と感じた。自分が決める自分。つまり、自分で「もう私は『オンナ』は卒業。もう『おばちゃん』でいいや」と思った時点で「おばちゃん」に変身するし、60歳を過ぎようと、恋もおしゃれも現役だ、と心に決めている時点では「オンナ」である。主人公メイは今回の痛い経験により、「母親」の部分は捨てざるを得なくなったが、その「報酬」として、残された人生をもう一度「オンナ」で生きていくきっかけをだめんずのダーレンから得たのだ。決して楽ではないであろう今後のメイのオンナとしての旅を、不安ながらも応援したくなるエンディングだ。

圭子

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