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2011年3月 3日 (木)

「英国王のスピーチ」-心と言語はつながっている-

この映画を見るまで、ジョージ6世という人のイメージがあまりなかった。むしろ、彼のお兄さんで、「王冠を賭けた恋」で有名なエドワード8世(とシンプソン夫人)の方が印象深いロイヤルメンバーだった。しかし、この映画によって、人間的に魅力的な「しんどい役を引き受けた損な弟」であるジョージ6世に興味津々だ。そんな人間臭い王をコリン・ファースが熱演していて、スクリーンから目を離せない2時間を過ごした。

子供の頃、脚の形が悪いことから矯正のための痛いギプスをさせられていたり、また、自分をいじめる乳母からの「食べ物を与えられない」というひどい虐待もあり、心の傷からか吃音症を持つバーティ(後のジョージ6世)を見ていて、心と言葉とはつながっているものなのだろうと思った。私も、吃音とまではいかないけれど、苦手な人とだと母国語でもうまく言葉が見つからなかったり、どもったりする。そして、相手が好きな人だとしても、精神的に参っているときなどは、言葉がつっかえたりする。逆にお酒を程よく飲んだり、相手との間に垣根がなくなったな、という瞬間には、若干上手に話せるようになる。英語を教えていたことが昔あるが、生徒さんが自分を信用してくれて、安心してくれると、英語までスムーズに出てくることがあった。私に気を許してくれて、口の周りの筋肉まで柔らかくリラックスしてくれたのかもしれない。極度のストレスを得た人生だったバーティは、言葉がうまく流れてこなくなるのも、無理もない。コリン・ファースは本当に吃音なのかと思うほど、一言一言大変そうに話していて驚いた。しかし、時に感情丸だしのときに流れるように卑語を叫んだりして、彼の言語セラピスト(ジェフリー・ラッシュ最高)への信頼が徐々に深まるのが映画を見ていて分かる。

ヘレナ・ボナム=カーターが後のQueen Mother、エリザベス(娘と同じ名前である)を泣けてくるほどいい感じに演じている。この人、どんどん深みが出てくる。今まで「上流階級の娘」「猿」「魔女」「『アリス』の中の女王」などなど、と幅広い役を演じてきて、本作では英国で一番人気のある「おばあちゃん」であったQueen Mother役!!怖いものはもうない。今回のヘレナは、「こういう嫁になりたいな」といういい女を可愛く演じていた。二男と結婚したし、夫は「王」にはならないわ、と思っていたら長男が「僕、好きな人ができました」と言って王位を退位。「ええ~!?聞いてないよ!!嫌だよ、そんな責任ある人の嫁!」ともし私が彼女(エリザベス)の立場なら夫に愚痴る。そして、夫の吃音に対しても「どうにかならないの!?頑張って治そうよ!」とイライラして当たり散らすかもしれない。だが、多分実際のQueen Mother もいつもにこにこしていて「大丈夫よ、なんとかなるから、あなた、焦らずにね。」と相手にプレッシャーを与えない優しさでつらい人生だったジョージ6世を助けたのだと思う。ヘレナ・ボナム=カーターを見ていて、「きっと悪いようにはならないな、王も」と安心して映画を見ていることができた。

実際のQueen Mother だが、亡くなった時の年齢は101歳である。先ほど、彼女の100歳誕生記念馬車パレードをYoutube で見たら、現チャールズ皇太子(孫)と共に普通に手を振ったりにこやかに談笑していた。かなり派手な水色のドレスに身を包んで・・・自分で杖をついて歩いているシーンもあった。亡くなる直前まで現役だったのであろう。いつも首をかしげて八重歯っぽい歯を出してにんまり笑っていたイメージがある。「OK!」「Hello!」といった英ゴシップ誌でもグラビアを常に賑わせていた。帽子もいつもおしゃれで、可愛い太めなおばあちゃんだった。今回の映画の中のヘレナのように、「笑顔で周りを元気にさせる」パワーのある方だったと記憶する。

ところで、一つ笑えるのが、ティモシー・スポールのチャーチルだ!もう、かなり「チャーチル顔」で体は「チャーチル体型」。あまりにも「やりすぎちゃう?そこまでチャーチルチャーチルしなくても・・・」というくらいの「チャーチル度」の高さに、彼が出てくる度小刻みに笑ってしまった。

ラスト近くの王のスピーチのシーンで、ベートーヴェンの交響曲第7番第2楽章がバックでかかり、その荘厳な音楽の影響もあり、泣けてきた。一生懸命とぎれとぎれ(あまりにとぎれとぎれだし、ゆっくりなのでスピーチの内容があまり理解できなかった)に話すジョージ6世にはらはらしながら、「もう少し、もう少しだよ。頑張れ!」と劇場の観客は皆心の中で祈っていたはずだ。この曲を使うなんて、ずるい!花粉症と感涙で鼻水が止まらなくなった私だ。

圭子

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受信: 2011年3月13日 (日) 19時55分

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