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2011年7月29日 (金)

「麦の穂をゆらす風」-たまには覚悟をして映画を見よう-

アイルランド独立問題を徹底的に「イングランド=悪者」目線で描いた本作は、イギリス人であるケン・ローチによって作られている。イギリス軍人役の凄まじい悪人ぶりに、てっきり監督はアイルランド人かと予想したが、予感ははずれた。

キリアン・マーフィ演じる村一番の秀才と、ポードリック・ディレーニー演じるテディは兄弟だ。二人ともアイルランドのイングランドからの独立のため命掛けで力を合わせて戦うが、映画後半では皮肉にも敵味方の関係になる。恐ろしい展開だ。

映画の中にはポップコーンやビール、コーラを飲みながらワイワイ泣き笑いしながら見るのにちょうどよいタイプのものがある。そして、映画の中には、見る瞬間瞬間、胃を痛めながら見て、見終わったあと「ドーン」と落ち込むものもある。本作は完全に後者だ。

胃を痛める映画は、気楽には見ることができない。覚悟を決めて見るしかない。そして見終わった後、数々の苦しいシーンを心で反復することになる。再び胃を痛めながら、深く映画のテーマを考えることになる。

本作を見て、自分のアイルランド問題に対する知識の薄さにショックを受けた。イギリスに滞在中、不信物の発見により突然リバティ百貨店からぞろぞろと全員退去(階段を使って)させられたとき、周りの人のつぶやきの真似をして「またIRAかよ」とか言いつつ、「Irish Republican Army」が正式名称とも理解していなかった無知さ加減。そして、「IRA=凶暴なテロ組織」と勘違いしていたおろかさ。独立戦争の中、数々の若者がたちが命を落とし、数々の若者たちが身内すら殺めなければならない悲劇を背負っていたのだ、「自由」を得るために。

命がけで自由を求める感覚を知らない甘えた世の中に住む私たちは、時々このような胃が痛くなる映画を見て、世界を学ばなければならない。

映画の中かなりの割合で、緑の草原が映る。エメラルドの国アイルランド。美しいアイルランド。悲しいアイルランドを描いた映画だ。

圭子

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