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2011年8月23日 (火)

「卍」-コケティッシュな樋口可南子に乾杯-

度胸がある女優だと思った。「卍」の中の樋口可南子は、すごい。1978年にテレビドラマでデビューして5年後、全裸ヌードだ。それも、相手役は高瀬春奈、および原田芳雄、という二つの性。今穏やかな、井上真央の姑役(「おひさま」(NHK))@安曇野の蕎麦屋、を演じているのが信じられないような、激しさだ。

こういう大胆な演技を見ていると、本当に昔の日本の女優はきちんと(乳首を含み)体を出していたのに、なぜ最近の若い女優は露出を惜しむのか、不思議になる。裸姿を演じると、価値が下がるという風潮があるのだろうか?人の人生を描くときに、本当の姿を見せずして何が語れるのであろう。

そういう意味で、80年代のころの松坂慶子、名取裕子、かたせ梨乃、秋吉久美子の四天王(勝手に名づけました)をリスペクトする。彼女たちが20代後半、30代前半という最高に美しい時期に体を張った演技をしたことで、価値が下がった21世紀を迎えているか?そんなことは決してないことは、輝かしい50代を過ごしている彼女たちを見ていればわかる。

そんな四天王チームに入れたくなるほどの勇敢な演技の樋口可南子に乾杯。谷崎の原作は読んでいないのだが、この際読んでみようと思った、興味深い設定の奇妙なシュールな話の中で、コケティッシュな魅力(女性に対しても、男性に対しても、夢中にさせる不思議なオーラがあった)を振りまいていた。対する高瀬もマンションのフローリングの床にどばーっとぶちまけた牛乳をぺろぺろなめたりと、ものすごい。いそいそと広尾で買ったスペアリブとワインを持って光子(樋口)のマンションへ向かう恋する表情の園子を、不思議な雰囲気で演じる。

園子の夫で刑事役の柿内を原田芳雄がこれまたシュールに演じる。刑事だが、おもに家で油絵を描いていたり、囚人服のようなパジャマを着てごろごろしている。このころの原田芳雄氏が43歳くらいで、元気に若く、コミカルな雰囲気で、先日お亡くなりになる直前の車いす姿を思い出すと、悲しくなる。

本作では(私が原作を読んでいないからわからないだけかもしれないが)、中途半端に描かれるシーンも多い。たとえばハーレーに乗る梅宮辰夫のシーン、突然娘(光子)のもとに現れ、妊娠したことを告げる小山明子のシーン。そして、そもそも冒頭の園子の万引の「意味」がのちに解明されない点など、細かいシーンの存在理由があまりわからない点もあることも事実だ。

ところで、現在80年代の四天王的女優道を歩んでいるのは、寺島しのぶだけだ。もう少しわが国にも大胆な人が必要だと、切望する。たとえば「卍」を現在リメイクするとして、20代半ばで光子をきちんと演じることができる人はいるか?(光子の放尿シーンは、もしかしたら本当に放尿しているのか?と思えるほどのリアルさだ)少したるみかけたリアルな肉体をさらけ出す園子を演じるこことができる人はいるか?寺島が一人二役するわけには、いかない!が、しかし、もっと重大な問題は、私たちは原田芳雄を失ってしまったという点。そして彼に代わる男優が、もう存在しない、という点だ。

圭子

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