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2011年8月31日 (水)

「鬼火」-唯一無二の俳優、原田芳雄-

原田芳雄追悼第一弾で先日「卍」を見たが、今回は第二弾。「鬼火」は彼の代表作と聞き、期待をして見た。期待を遙かに上回り、見終わった後もしばらく独特の原田芳雄ワールドから抜け出せずにいる。

人生の長さの大半を刑務所で過ごした男、国広。「クニさん」と呼ばれる彼は五十すぎて娑婆に出てきた男だ。人を、殺している。だが、性格が真面目で、愛らしくもある。出所後は堅気の人生を望むが、才能のあるヒットマンである彼を「古巣の世界」の輩たちは放っておかない。

原田芳雄は、「ユニーク」だ。唯一無二の俳優だ。こんな俳優なかなかいない。少なくとも最近の俳優たちには、かなわないものを持っている。見ていてぞくぞくする。本作も見ていて常にいろいろな意味で不安な気持ちになった。映画だから、作り話だから、という気楽さが自分の中でなくなっていくのだ。ずっとクニさんのことが心配で、生きた心地がしなかった。

大好きな鈴木砂羽氏のブログで、彼女が友人片岡礼子のことを以下のように書いていた。以下、引用(砂羽様、2011年7月23日の『ボン風呂』、引用させてください):

「そのちょっと前に
友達の女優の片岡礼子嬢と共演している「鬼火」という映画を観たばかりだった。
ワタクシはこの映画にすっかりやられた。」

http://yaplog.jp/bon-blo/archive/335 

「そのちょっと前」というのは、砂羽氏が飲み会で初めて原田芳雄と出会った「ちょっと前」。片岡礼子も大好きだし、彼女が原田芳雄とどう絡むのか絶対見たい、と思い、本作を体験した。原田芳雄も最高だが、片岡礼子も負けていない。命がけの勝負をしている。片岡礼子(そして砂羽氏も)と共に同じ時代を生きる幸運に乾杯。

北村一輝は当時本名の「北村康」として活動している。話し方、動き方があまりにもゲイだ。「プリシラ」で「フェリシア」を演じた際のガイ・ピアースを彷彿させる。北村演じる「坂田」は、クニさんが大好き。クニさんに恋をしている。「メガシャキ」北村は演じる役によって別人、だが、常に、尋常ではない雰囲気を出している。今後も異様な役、がしがし演じていただきたい。

本作の舞台は大阪である。やや劇中の大阪人たちが「おおげさ」に描かれているが、そんな「大阪さ」が懐かしかった。人なつっこい教習所の教官に、180円の古本を「180万円」と売るおっちゃん。たまに関西に戻るとタクシーの運ちゃんがやたら話しかけてくることや、見知らぬ人が割とすぐに話しかけてくる(地下鉄で路線地図見上げているだけで「どこ行くん?わかる?」と話しかけてくる、とか)状態が、上京十年を過ぎてもなかなか東京砂漠に馴染めていない私を懐かしくさせる。

とにかく、「世界」に通用する映画だ、というか、もしかしたら世界の映画人たちがすでに見ていて、自分の映画作りの参考資料にしている可能性がある。オープニングとエンディングの緑の水田風景には、エキゾチックな雰囲気すら感じた。普通の映画ではない。見る人の人生を変えてしまうような、上等な映画だ。

圭子

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