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2011年12月12日 (月)

「配達されない三通の手紙」-小巻さまの雄たけび、最高!-

山口県萩が舞台の、富豪唐沢家を描いたミステリー。エラリイ・クイーンの小説を原作とする作品だ。1979年作品。

登場人物が多く、豪華絢爛。銀行家の父を佐分利信、母を乙羽信子、三人娘を小川真由美(いろいろあって勘当されており、現在バー経営者、の長女)、栗原小巻(三年前に、結婚式の日に婚約者が失踪し、それ以降心の病にかかっている次女)、神崎愛(普通に明るく、普通に社交的。「和」というより「洋」のライトさを持つ、元気印三女)が演じる。長いこと失踪していたのに、突然萩に戻ってくる謎めいた小巻の婚約者敏行を、スリムでニヒルな当時モテモテの片岡孝夫(現、15代目仁左衛門!)がミステリアスに好演。とにかく豪華絢爛。唐沢家の四女になり、地元の名士の息子とでも婚約したい!と思わせる豪華さ。(ふと戻ってきた敏行と次女小巻(演じる「紀子」)の新婚旅行は英国、フランス、スイス・・・と、まるでイギリス貴族もの(時代劇、たとえば「ハワーズ・エンド」とか「眺めのいい部屋」みたいな)のようだ。小巻と神崎愛の「お父様」という呼び方が決してわざとらしくなく、この女優たち本当に洋館で育ったのかな~と思ってしまうほど。

栗原小巻には、あっぱれである。ラスト近くの壊れていく姿、只者ではない。前半の静かな楚々とした姿から、だみ声で雄たけびを上げるクライマックスまでのジェットコースター的変化。一人の女の幅広い状態を一本の映画で見ることができる。迫力がすごい。松坂さんと小巻の戦いのような演技に、ハラハラドキドキ。70年代、80年代の邦画、何を見ても、はずれがない。

はみ出し者の小川真由美のかっこよさも見逃せない。バーを切り盛りして、実家からは距離を置いている長女麗子。彼女がバーのシーンで吸っているタバコ、ちょっと変わっている。ベルトルッチ監督の「ドリーマーズ」でエヴァ・グリーンが吸っていたタバコみたい。

本作での松坂女史は27歳・・・ 美しさの極み・・・ 突然萩の屋敷に「兄」の敏行を訪ねてくる、やや下品な「妹」智子をどぎつい化粧で演じるが、沢尻エリカ様並みのアイメイクでいても、裸に近い露出度の高い服を着て気だるく昼間からビールを飲んでいても、もともとの松坂女史の「品」は損なわれない。かわいいんだから、しょうがない。クラース(class)があるんだから、しょうがない。「青春の門」での(乳首)ヌードデビューの前の作品である本作では、シャワー・シーンでの後姿フルヌードのみ(および、片岡孝夫に抱きつくシーンの後姿フルヌードのみ。つまりは、「後ろ」しか見えない!)なのが、残念。全体的に本作は、性的な匂いがあっさり目である。性的な匂いを薄めているのは、蟇目・神崎の「探偵ペア」の繰り返される朝のジョギングシーンも原因とも考えられる。(まあ、この探偵ペアの軽いノリが、映画を暗くさせ過ぎないので、案外よい効果もあるのでグー。)

このころ(70年代後半から80年代前半)は、松坂慶子と渡瀬恒彦を同じ作品内に見ることが多い(本作、「青春の門」、「道頓堀川」・・・)。本作での渡瀬は、神崎愛演じる三女恵子の婚約者である検察官峰岸を演じる。最初の頃は超「華麗なる一族」の唐沢家に招かれて食事を一家と共にしたりしていても、今一つ存在感が薄い「なじんでいないよそ者」的なイメージを与えるが、後半では大活躍。なかなか人間味のあるキャラへうまいこと豹変していく。

なんとなく唐突な感がある竹下恵子のラスト間際での出現。この、竹下演じる「美穂子」と敏行との関係を、もう少し最後に「回想」シーン等できちんと描いてもらいたいものだが、それをあえてしなかったことが、あっさりとした渋い終わり方を導いたかもしれない。

それにしても、ボブ役の蟇目良。やり過ぎとも言える英語なまりの日本語が、かなり時代を感じさせる演技だが、顔立ちがマーク・パンサーみたいで、悪くないぞ!

圭子

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