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2011年12月27日 (火)

「冷たい熱帯魚」-救われないけど、最高!人生は、痛いんだ!!-

園子温監督の2010年作品。同監督の「愛のむきだし」は長調のイメージでラストで気分がすっきりするのに比べ、本作は、救われる感覚は、ない。だが、大満足。一生忘れられない映画だ。

実話(1993年の埼玉愛犬家連続殺人事件)をベースにした映画である。小さな(あまり成功しているとは見えない)熱帯魚店を営む社本(吹越満)が、あれよあれよという間に連続殺人事件の共犯者に仕立て上げられていく、地獄のような物語を園監督が容赦なく描く。

社本は、娘の万引きがきっかけで、強引な男、村田(でんでん!強烈!)と出会う。村田も同業者だ。大きな熱帯魚店(「アマゾンゴールド」という店。なぜか従業員は若い女の子だけ。)を経営する村田は豪快で、人懐っこい。その妻愛子(ちょっとノッチの奥さんに似ている黒沢あすか。声がいい!)はやたら色気があり、村田とは年齢的にも不釣り合いな雰囲気だ。

社本を取り巻く生活は、一言で表現すると、「寒い」。妻妙子(神楽坂嬢)と社本の思春期の娘とはうまくいっていない。(妙子は後妻だ。)熱帯魚店も閑古鳥が鳴いている。妙子も社本との生活が呪わしくて仕方がない。夕飯は「サトウのごはん」をレンジでチンして、冷凍のから揚げをレンジで解凍。味噌汁までもインスタントだ。何もする気がない。なんでこんな男と結婚しちまったんだろう?という顔をして過ごす。娘は食事中でもボーイフレンドから携帯に連絡あれば、ひょいひょい出かけていく。生きるのは、地獄だ。

そんな社本が、「もっととんでもない地獄」に村田&愛子から引きずり込まれた際、束の間の「夢」を見るために妻を引っ張っていくのがプラネタリウムだ。昔二人でデートしていたころ来たことのあるプラネタリウム。いつからこんなことになってしまったのか?もう引き返せないのか?愛に満ちていた日々はもう戻ってこないのか?これから地獄で息を引き取るのか?俺は。負けたままなのか、俺は。

最終的には、娘に「人生は痛い」ことを自分の体を張って証明した社本は、勝負に勝った。ラストの社本は、もう、おどおどした気の弱そうな社本ではない。

私は思う。「異常」と「正常」なんて、そんなにはっきりとは分かれていない。連続殺人犯夫婦村田&愛子は、それはそれは恐ろしい存在ではあるが、劇中ではコミカルに描かれ、殺害した人肉をまるでカレー用の肉の大きさにせっせと切り刻むかのような姿(しゃがみこんで肉をさばく姿を見ていたら「赤目四十八瀧心中未遂」の串刺しシーンを思い出した。)は、あまりにも「息」が合っていて、あたかも焼き鳥屋を長年営むおしどり夫婦のようだ。自分の私欲のためなら人を「透明」にすることに何ら罪の意識も持たない村田の「おいしいコーヒー立ててくれ!」の一声は、きらきら輝くほど、素直なものだ。表面的な態度や犯している罪はかなり強烈だが、本質的な部分では案外にまともなことも言う村田。(熱帯魚店の従業員教育はしっかりしている。)再び、述べる。異常と正常なんて、そんなにはっきりとは分かれていない。Every human being is an enigma.

神楽坂恵様。祝ご入籍!

圭子

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