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2012年5月23日 (水)

「メリーに首ったけ」V.S.「Emma エマ」-慈善、とは・・・-

ファレリー兄弟作品をこの「メリーに首ったけ」で初めて知った。1998年作品である。最高に輝いていた(「いた」とは言いたくないな。今も輝き続けているのが衝撃的だ。)頃のキャメロン・ディアスのプロモーションビデオのような作品だ。ファレリー兄弟に大笑いさせてもらいたくなり、およそ10年ぶりに再見した。

「メリーには何かがある。」これが原題の意味だ。何かすさまじい魅力。何か分からないが惹かれるもの。キャメロン・ディアス演じるメリーは、なぜか周囲の男たちを夢中にさせてそれが結果的に大事件を発生させてしまうような、不思議な女性だ。

このメリー、自分自身にも障害を持つウォーレンという弟がいるが、その弟との関係もそうだし、町に住む障害者たち、老人、など助けを必要とする人たちとの関係がものすごく自然なのだ。「世話してます」という態度では全くなく、とにかく自分自身楽しくてしょうがないように接している。なので、助けを得ている人たちも、「申し訳ない、迷惑かけて・・・」という気持ちにはならない。「一緒にこの世にいるってことは、お互いに助け合う必要がある。どちらかが優位な気分になったり、どちらかが劣った気持ちになるのは、おかしいぞ」という監督の強いメッセージを感じる。ほかのファレリー作品を見ても、障害を持つ人の描写がとても自然でいい。

メリーの「慈善活動」は彼女の人生、生活の一部であり、友だちとランチしたり、好きな人とデートしたりすることと同じレベルにある。このような形でボランティア活動ができればいいな、と思う。相当自分に満足していて、自分に余裕がないとメリーのような自然体にはなれないだろう。

ちなみに、メリーと付き合う怪しい「インチキ建築家」役を演じるマット・ディロンはこのころ確かキャメロンと実生活でも付き合っていたと記憶する。まったくもってお似合いだった。HARPER'S BAZAAR誌の表紙を飾る白いワンピースのキャメロン、そして彼女を抱きかかえるブラックスーツのマット・ディロンは本当に絵になっていた。古き良き時代・・・

「ヘア・ジェル」しかり、「frank and beans」しかり。かなり強烈なジョークも含まれているが、全体を流れる清らかなイメージは、キャメロンの初々しさ、そしていつでも澄んだ目をしている小動物のようなベン・スティラーのおかげであろう。「ジェル」が耳たぶに飛ぼうとも、私はこの映画を「清潔な」映画だと理解する。

同じく「慈善」がテーマの一つである「Emma エマ」を見た。1996年作品。

エマ(一体どうやって訓練したのか?という完璧なイギリス英語を操るグウィネス・パルトローに乾杯)はある意味おせっかいさが鼻につく若い娘だ。上流階級のお嬢様。周りの人々を「くっつける」のをミッションだと思っている。「この人にはミスター○○がぴったりだわ」と思えば、様々な工夫をしてくっつけようと頑張るのである。

人の縁組にばかり気を取られている彼女だが、次第に自分自身の内なる心に耳を傾け、恋を意識するようになる。(この恋に関しては、全く心配する必要はない。ジェーン・オースティンの原作があまりに有名なので、ハッピーエンドであることはあらかじめ分かっている。なので安心して最後まで見ることができるのだ。)

周囲の男女関係をハッピーにすることのみならず、自分よりも恵まれていない人々へのチャリティも忘れないエマ。貧しい家に食料を持参したり、階級の低い人も友だちサークルに混ぜてあげたり、とかなり「上から目線」の慈善活動に勤しんでいる。(ここが上記のメリーとの大きな違いだ。)ただ、この時代(ジョージ4世の時代)だし、階級がばっちり分かれている英国を舞台にしている。エマとメリーを同じ土俵で戦わせるわけにはいかない。しかし、私は、この映画だけを見て感じたことなのだが(オースティンの原作は未読)、いつかエマは、上から目線の慈善ではなく、「他者と共存して生きていくには、それぞれの弱点を補いながら生きなければやっていけない」という考えを身に着け、共存重視のボランティア活動ができるようになるのではないか、と予感した。ナイトリーという「最高の親友」を夫にしたエマは、今後大きく成長するのだと思うのだ。映画自体はエマとナイトリーとのガーデンウェディングで爽やかなエンディングを迎える。その先の正直で、清らかで、堅実な成長のある人生がウェディングドレス姿のエマから見える。

これら2作は、時代も国も全く別の世界を描いている。かたや精液、かたや紳士と淑女のダンスパーティだ。まったく違うタイプの作品だが、「慈善」、「差別」、「他者との共存」など、難しいイッシューを考えるよいきっかけになる映画だ。

圭子

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