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2012年8月17日 (金)

「モンスター上司」V.S.「京都地検の女」-上司は選べない・・・でも、名取裕子の元で働きたい!-

大好きなジェニファー・アニストンが珍しく悪役を演じている、とのことで、ずっと楽しみにしていた「モンスター上司」をとうとう拝見した。原題は「Horrible Bosses」。

本作、悪役(上司たち)が本当に、よい!やられる方(部下たち)を演じる三俳優は、どうも地味な印象で、同じく「バディー系」の「ハングオーバー」に比べると、特徴が少ない。(三人のうち、ニック役のジェイソン・ベイトマンとカート役のジェイソン・サダイキスに関しては、背格好・醸し出す雰囲気も似ている。)だが、この「特徴の薄さ」が逆にhorrible な上司たちの異常さを際立たせてくれていて、うまく働いているのだ。

ニックは証券会社に勤めている。8年間、我慢、我慢の生活だった。すべては「出世」のため。やっとvice president に昇格することが見えてきたところだ。もう少しの辛抱、もう少しの辛抱・・・と、上司ハーケン(いつも異常な役がお得意の、ケヴィン・スペイシー様)の言うことをなんでも聞く。朝6時から夜中まで文句も言わず、働く・・・ 朝2分遅刻(遅刻と言っても「6時2分出社」だ。)しただけで、精神的ないじめを受けたり、見ていられない状態だ。

勝手なイメージだが「こんな目に合ってでも会社を辞めずに辛抱する、なんて、自由主義のアメリカ人の世界でもあり得るのか?すぐにでも転職しそうなものだが・・・」と最初は思ったが、ハーケンの言葉にはっとした。「辞めたくてもお前は逃げられない。俺の『紹介状』が必要だろ?そこに『こいつはアル中です』って書いてやるぜ・・・ケケケ!」(的なことを言う。)そうだ。転職には前務めていた会社の上司のletter of recommendation (reference) が必要だった!!このシステムがあるので、あまり変な退職はしづらいし、逆に上司とケンカするような退職の仕方をすると、その先の人生に影響する。ある意味、転職社会のアメリカの方が、「上司からの陰湿ないじめ」が生まれやすい環境なのかもしれない。

このハーケンという男が、本当に異常な奴で、職場だけではなく、家での妻との関係を見ても、まったくもって異常。狂っているとしか言いようがない。こういう異常な役を気持ちよさそうに演じるケヴィン・スペイシーに幸あれ。

他の二人も、とても仲良くしていた上司(ドナルド・サザーランド!)が亡くなってしまい、その息子の馬鹿男(コリン・ファレルがバカ殿みたいな役でこれまた最高)が跡を継ぐことになり、職場環境が暗転してしまったり、歯医者に助手で務めているが、上司の歯科医(ジェニファー!本作ではブルネットのウィッグで悪女を好演!ブルネットもお似合い)が異様なセクハラ狂で、彼女に股間を水で狙われたり、後ろから耳を舐められたり、と執拗なまでに嫌がらせを受ける。もう三人ともモンスターな上司たちに限界を感じ、次第に「殺意」を抱くようになる・・・

映画の終わりには、三人はどうにかこうにか自分の職場環境を改善することに成功するが、すかっとする爽快感はあまりない。もう少し、悪役たちが苦しむ姿も描き、「いい気味~!やったね!」という感情を味わいたかった。

「ハングオーバー」や本作だけではなく、アメリカ映画では本当に、「男数人の友達がつねに夜飲み屋に集合して情報交換したり愚痴を言い合ったりする」シーンを描くものが多い。たいがいが、「高校/大学時代の友だちだが、30過ぎても仲良くしていて、ずっとつるんでいる」という仲間たち(「1対1」ではなく、たいがい3人以上の友達)だ。この設定、アメリカ特有かもしれない。たとえば日本の場合は、ドラマや映画で男たちが飲み屋で飲む場面の場合、職場の同僚と帰りに一杯飲んで帰る、というシーンが主だと思う。(高校の頃の友達と会う、ということが地方から都会に出てきている人が多い中、難しいこともある。また、大学の頃の友達も、仕事のスケジュールなどで、それほど頻繁には会いづらい。)そしてフランス映画の場合は「男同士」で酒、というより、基本的に食事や飲みの環境は「男と女」が共存している。アメリカ社会の「バディーの結束」を重要視する文化、これだけ映画で頻繁に出てくるのだから、実際の社会でもそうなのかもしれない。とても興味深い。いろいろな映画において、アメリカの男たちがバーで話し合っていることがとても親密なこと(好きな女の子のこと、職場の上司のこと、心の悩みのこと)であるのも面白い。日本ではこのような話題を「ねえねえ聞いてよ。」と話し合うのは女の子である場合が多いような気がするから。

恐ろしい上司に身も心もずたずたにされるのではなく、「こんな上司と働けて、私は幸せ!」という環境もまた存在するはず。名取裕子主演のドラマシリーズ「京都地検の女」には、そんなうれしい匂いがぷんぷんする。

京都地検の検事鶴丸あや(名取!最高!)は、主婦的な感覚を大事に、難しいケースも独自の方法で真相を探っていく。彼女の周りには、井森という気まじめな事務官(大杉漣!)や、体格も元気もよいさばさばした見習いの川喜多事務官がいたり、と鉄砲玉のようなあやを暖かく見守り、あやも、周囲をうまく巻きこんでよい職場環境を作っている。

明るくて人情味もあり、仕事もできる上司がいて、まじめだけど暖かい同僚がいて、気持ちよくみんなが化学反応を与えながら働く、なんて夢のような話だ。実際の世界では「モンスター上司」のコリン・ファレルのように、馬鹿でどうしようもなく下品だが、「権力」は人一倍持っている人がいたり、理不尽な仕事を押し付けてきて自分は「お先で~す!」と退社してしまう人もいる。そして、失敗を部下になつりつける人なんて掃いて捨てるほど、いる。だからこそ、鶴丸あやは理想郷の中で理想の上司として、神のように君臨するのであろう。

ああ、名取裕子最高!名取の元で、見習いで働きたい!

ところで先日見た第8シリーズの第4話で斉藤慶太がはっとする演技を見せていた。重みがある俳優になってきた。驚きである。

圭子

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