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2012年12月18日 (火)

「君のいないサマーデイズ」-バカンスをまったりと楽しむ人たち-

この映画は、バカンスをまったりと海辺(ボルドー近く)で過ごす大人数の大人たち(友人、夫婦、子供、恋人、という複合型グループで合計10人以上)の姿をまったりと描いている。いやああ、バカンス。うらやましい。フランスでは法律で認められている制度であり、連続5週間までとることができるとのこと。

長い休みに、自分のところの家族だけではなく友人とともにのんびりと別荘で過ごす。食事もともにし、昼はサッカーをして楽しむ。一泊や二泊ではない。そんな生活が数週間続く。まずはそういう想像もつかないライフスタイルにカルチャーショックを受ける。気を使いまくる性格の私には無理だ。たぶん、「むしろこういう休暇の過ごし方は『休養』どころか『ストレス』にしかならないのでは?」と思う人もわが国には多いのではないだろうか?しかし劇中の大量の男女たちは、気楽そうにまったりとワインを飲みながら過ごしている。

家族には本音をぶちまけるが、一歩家を出たら建て前という名の仮面をかぶる私たちと、数週間のバカンスを露出のはげしい服装で仲間と仲良く気楽にすごす彼らはどう違うのだろう?自分の欲望を大事にすることだろうか?自分を愛してこそ他人にも優しくできるのかもしれない。建て前の仮面をはずしたら、私たちも、友達の友達までも交えてワイングラスを傾けて楽しめるのかもしれない。

いつもバカンスにともに行くリュドはバイクの事故で重症の状態に。リュドなしだが、期間を短縮してとりあえず恒例のバカンスに向かう大量のメンバー。なかには自由奔放な女性を演じるマリオン・コティヤールや、「ピアニスト」のときのサディスティックさを微塵も感じさせないブノワ・マジメル(今回は上品な整骨医役!)、などなど豪華なメンバーが自然体な雰囲気で存在している。

バカンス中に、メンバーの中の悩みや問題も浮き出しにされ、あっさりしているかと思われる人間関係も、だんだん濃い、人間臭いものになっていく。

それにしても、彼らの話題のほとんどが「恋愛」に関することだった。大の大人が「好きな女からメールが来たけど、返信するべき?それともこのまま少し置いておいた方がいい?どうしよう!?」みたいなことを四六時中うだうだ言っている。いいな・・・こういう生き方。

昔学生のとき夏にイタリアに旅したとき、一週間くらい友人の豪華な実家に居候させてもらったことがある。友人自体は独立して近所で一人暮らしをしていたので、彼女が若いとき使っていた部屋を自由に使わせてもらったのだ。その実家には彼女の両親と兄、そして毎年夏に長期に滞在しているというフランス人の娘がいた。彼女の家族と私の友人の家族は、いわば家族ぐるみの付き合いらしく、夏にフィレンツェで友人一家にステイするのが彼女の「バカンス」なわけだ。

そのフランス娘の肩の力のぬけた「リラックス感」に正直嫉妬したものだ。いくら歓迎されているとはいえ、ずっと他人と一緒だと、次第に疲れてくる。イタリア語や英語をしゃべり続ける疲労と、「身内ではない人々に囲まれる気苦労」的要素もでてくる。みんないい人ばかりだが、いつも愛想良くしていないといけないこともまた、ストレスの原因にもなる。私は1週間素晴らしい時間を過ごした反面、「いつもニコニコしているのもしんどいし、ちょっと一人になりたいかも。」と思う瞬間もあった。

しかし、私よりも長い時間その家でまったりとすごすフランス娘は朝起きてくるなり「Ciao, bello~」の挨拶キスをお兄さんに。百年たってもここまでのリラックス感は出せないな、と感じたものだ。無理に元気に、無理に愛想よくする、などの努力などしていては、人の家に何週間も過ごせないだろう。そもそもそういう努力などせず、自然体でリラックスしていた彼女のことを映画を見ている最中に思い出した。

本作の中でも、バカンスを共に過ごすメンバーは、無理に愛想をよくしたり、という変な努力などしない。それぞれが気ままに時をすごし、時に一緒にゲームをしたり、時に個人的な活動をしたり、と思い思いにバカンスを満喫していた。

冒頭のディスコのシーンとバイクで運転しているときのシーン以外は、病院のベッドに寝たきり、の傷だらけの状態のシーンだけ、という難しい役は、最近「アーティスト」でアカデミー賞主演男優賞をとったジャン・デュジャルダンが演じている。そもそもこのリュドという役は、マリオン・コティヤール演じるマリーの「元恋人」という設定だ。事故がなかったらバカンスに共に行く予定だったわけであり、この「元恋人同士の二人もほかの仲間と一緒にバカンスに行く」という設定すらも日本では有りえない!ああ、本当に奥の深い国、フランス。いいなあ、フランス。

圭子

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