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2013年10月22日 (火)

「アンナ・カレーニナ」-役の幅を広げたジュード・ロウに乾杯!Viva 寝取られ夫-

あまりに面白かったので、今、トルストイの原作を読んでいる。面白すぎる、「アンナ・カレーニナ」。1873年頃の作品だ。100年以上の前の話だが、生き生きとしたアンナの生き方には参った。魅力的すぎる。

この作品は何度も映画化されている。今回は2012年のキーラ・ナイトレイ主演版だ。彼女が貴族社会の中、周りの目にさらされ、噂話の話題になり、窮屈に生きる世界は、舞台のセットの中で描かれ、対照的にレヴィン(私が今読んでいる新潮文庫の木村浩訳版では「リョーヴィン」だ。)が自然と共におおらかに地味ながらも幸せに暮らす世界はロケーションの中で撮影されている。この対比が、登場人物の心理を描く際に非常に効果的だ。他のバージョンの「アンナ・カレーニナ」をまだ見ていないので比較はできないが、本作の演出の仕方、大成功なのではないだろうか。

アンナは年上の夫で政治家のアレクセイ・カレーニンの貞淑な妻だ。かわいい息子もいるし、裕福だし、夫は厳格だが、決して悪い人ではない。何も不満はない人生を送っている。しかし、その平和な日々は、若き美男子(ああ、こういう人があらわれちゃうと、人生狂っちゃうんですよね!!)の将校ヴロンスキー(彼もたまたま「アレクセイ」。)と運命的に出会ってしまい、周りが見えなくなるような恋に落ちてしまってからは、ぐちゃぐちゃになってしまう。ぐちゃぐちゃになってしまうのだが、アンナは自分の意思でその愛の地獄に落ちていく、ほんの少し薄ら笑いを浮かべながら・・・

ヴロンスキーとの子供を妊娠し、夫を捨て、新しい人生を選んでも、1800年代の帝政ロシアで(いや、いつの世も、家庭を捨て、新しい男と新しい人生を始めるのは、ちょっと大変だ。)は、そう簡単にはうまくいかない。社交界で、完全アウェー化してしまうアンナ。人生を自由に生きる女に世の中は厳しい。アンナの兄は自分の子供の家庭教師と浮気して、奥さんを泣かせても、アンナのように「社会の敵」のような扱いは受けない。ちょこっと浮気して、すんなり妻の元に戻ることができる男に社会は優しいが、そのようにうまく世の中を渡れず、不器用に、若い男にのめり込み、夜も眠れなくなるかわいそうなアンナには、世間は冷たい。

きっとこの「女の浮気(アンナにとっては「本気」であるが・・・)」に対する世の中の厳しさは、帝政ロシアの時代も、現在の先進国でも、あまり変わっていないであろう。女は、個人差もあるであろうが、「ちょこっと浮気して、すんなり夫に戻る」なんて芸当はできない。不器用な私たちは、常に恐ろしい「世間」から仲間はずれにされる危険性と隣り合わせだ。

不器用なアンナは、結局自分の人生をのほほんと続けることはできなかった。しかし、そんなアンナが田舎の地主レヴィンに嫁いで地味ながらもほんわかした人生を送るキティよりも不幸だったなんて、誰が言える?!死ぬほど好きな人と短い間だけでも究極の愛を感じながら生きたわけだ。アンナのような幸福をほとんどの人間は味わえないまま長い人生を送るのだ。アンナがうらやましい。アンナは輝いていた。そう思う人が山ほどいるから、トルストイの原作はいまだに世界中で読まれ続け、この物語も映画化され続けるのだろう。

ところで、一昔前なら、ジュード・ロウこそがヴロンスキー役を演じていたのにな、とふと思った。ジュード・ロウは、「寝取られる夫」ではなく、「寝取る若い男」側の役者だった。今回は、薄毛(これはナチュラルなジュードの薄毛か?それとも若干かつらなどで禿度をアップしているのか?)で地味な、しかし、悪人でもない寝取られ夫を好演している。アンナとベッドをともにする前に、まるで調味料棚から砂糖壺でも出すかのように、無表情で避妊器具(あの箱に入っていたのは、何回も洗っては再使用した当時の「コンドーム」に違いない!!)の小箱を引き出しから出すジュードの横顔に感動した。これは、地味なおっさんの顔だ。「スルース」でSir マイケル・ケインの奥さんを寝取った男や「アルフィー」での女たらしの男の時とは別人だ!そんなジュードも40歳。このように、今までは演じなかったであろう範囲の役も選んでいけば、仕事の幅も広がるはず。偉いよ、ジュード。寂しい禿男のおっさんを、上手に演じましたね!

圭子

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