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2013年12月29日 (日)

「マジック・マイク」V.S.「天使の分け前」-人生を好転させたいとき、「起業」を考える?それとも、堅実な会社への「就職」!?-

「マジック・マイク」。主演のチャニング・テイタムの実体験が元になった脚本とのこと。ストリッパー経験のあるテイタムの切れのあるダンス、および、作りこまれた肉体に、あっぱれ、あっぱれ。

チャニング・テイタム演じるマイクには夢がある。自分で作った家具を売ることだ。将来の起業のため、こつこつと、しわくちゃの紙幣を貯める。夜男性ストリップクラブでセクシーなダンスを踊ってチップを集めている。しわくちゃな紙幣は、彼のパンツに女性客が差し込んだものだ。そのくちゃくちゃなお札をきれいに重ね、重しをのせて、いつか始める事業に思いをはせるマイク。

ストリップクラブにスカウトした若い男アダムと共に、人気のダンサーとして活躍するマイク。しかし、あくまでも彼の人生目標は「家具職人」だ。どんなに女性から嬌声を浴びても、起業への夢は忘れない彼だ。

しわくちゃのお札に重しをのせるような人生を送ることは、「起業」ということが一般的な生き方ではない日本では、まだまれなことだろう。多くの人が(特に、今のように景気のよくない時代では)、できれば安定した会社に入り、できれば退職金がもらえるまで勤めあげ、できれば危ない橋を渡りたくない、と考えている。もちろん「ホリエモン」のような人も増えてはきているであろうが、ストリップクラブで全裸同然の恰好で踊り、チップを股間に挟んでもらうようなリスキーな人生を送ってでも「社長になりたい。」と思う威勢のいい人種は、哀しいかな少ない。教育の差か?きっとアメリカ社会では子供のころから「誰かに雇われる状態で人生終えるなんて、アホやで。」ということを頭に叩き込まれるのではないか、と私は想像する。マジック・マイクの予備軍は、きっと少数派ではないのであろう。

同じように、「今いる世界が最後じゃない。巻き返したい。」と頑張る男を描く映画「天使の分け前」を見た。ケン・ローチ作品。

主人公のロビー(Paul Brannigan というスコットランド人俳優が演じる。見た目はほぼ、ナイナイの岡村。)は、暴力事件を起こし、その結果、裁判所で作業奉仕を行うことが命じられる。仕事もない、彼女はもうじき赤ちゃんが生まれる。奉仕作業をしながらも、地元の親の代からの喧嘩相手のチンピラにいつも狙われ、お先はあまり、明るくない。

そんなロビーも、ある才能が自分にあることに気が付き、そのあたりから人生が好転し始める。ウイスキーのテイスティングの才能だ。ウイスキーの魅力にどんどん目覚めていき、最終的にはウイスキーの会社に就職することになる。赤ちゃんも生まれ、仕事も見つけ、やっとどん底だったロビーの人生の暗いトンネルにも明かりが見えるところで映画は終わる。The Proclaimers のはじけるような曲「I'm Gonna Be (500 Miles)」 のメロディーと共に、激しい満足感を見る者に与えながら・・・

この二作の大きな違いは、やはり、アメリカ人マイクの「人生の最終目標は『起業』」という精神と、スコットランドの労働者階級の若い男ロビーの「とにかく堅実な職場で『雇われたい』。」という精神だ。マイクは少額のお札を20代からこつこつ貯めて今やっと1万ドルくらい貯めたところだ。(その大半を同僚のアダムの借金の肩代わりに貸してしまうが・・・)決してお金持ちではない。しかし、しょっちゅうクラブに行って踊ったりお酒を飲んだりして、羽目を外しつつ人生を楽しんでいる。ところがグラスゴーのロビーの貧しさと言ったら、しゃれにならない。彼とともに社会奉仕を課されている仲間たちも、みな、ぎりぎりの状態で生きている。映画の最後の方にそんな仲間たちにも思わぬところからお金が転がり込むが、結局「酒飲みに行っちゃおうぜ!」と繰り出す。かなりの大金だが、「これを元に事業でも起こそうか。」なんて、誰の頭にも思い浮かばない。きっとこの映画が終わった後も、ロビーの友達の三人は、パブであっという間にお金を使い切るのであろう。手持ちのお金は映画のラストでは「天使の分け前」チームより、「マジック・マイク」のマイクの方が少ない。しかし、マイクはどんな状態になっても家具屋ビジネスを開始することを諦めそうにない。恐るべし、アメリカ人起業魂。

そして、この二作の共通点は、どちらの主人公にも、理解の深い、頭のよい、真面目な生き方をする女性がそばにいることだ。危なっかしいけれど、この男と一緒に頑張っていこう、と覚悟を決めた女の横にいる男は、二つの作品の中で似たような、幸せそうな笑顔をラストシーンで見せてくれる。

圭子

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